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2019.12.22

ALSA(アジア「法と社会」学会)第4回学術大会(大阪大会)概要(その3)

14日Ⅰ限には、“Asian Judiciary and Legal Education 1: Gender in the Legal Process and Profession”、“Global Conflict Management”、“Human rights and access to justice for linguistic minorities in Asia”、“Current Issues on Afghanistan”、“Competition Law Reforms in Asian Emerging Economies”、“Constitution & Human Rights”、“Issues on Legal Education”8つのパネルセッションが行われました。ここで注目されるのはアジア諸国の司法と法学教育に関するセッションです。司法に関わる専門家のジェンダー比率に関するアジア諸国の比較研究は様々な広がりを持つものであり、より広い範囲での共同研究につなげていくべき課題です。アジアの言語的少数者に対する司法アクセスの保障の問題も発展性のあるテーマです。さらに、アフガニスタンのパネルセッションが行われたことも注目されます。

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日Ⅱ限には、“Asian Judiciary and Legal Education 2: Lay Participation in the Justice System”、“Social Change and the Role of Courts in East Asia”、“The Hong Kong Extradition Bill Saga: Social Movements at the Local Level and Beyond”、“Sex Crime on Trial- A Comparative Study between Japan and Australia”、“Issues of Intellectual Property Law in Asian Emerging Economies”、“Issues on Disaster and Law”、“New Trend of Human Rights”、“Legal Issues on Religion & Culture”ALSA Distinguished Book Award Panel, “The Politics of Love in Myanmar: LGBT Mobilization and Human Rights as A Way of Life” (Stanford 2019)9つのパネルセッションが行われました。ここで注目されるのは、司法への市民参加のセッションと、香港における強制連行法案をめぐる闘争史のセッションです。後者はいま香港が直面している政治問題を正面から取り扱うものであり、特に関心を引きます。ALSA Distinguished Book Awardのパネルも今年の受賞作についての講評であり、重要なセッションとして位置づけられます。

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日Ⅲ限には、JASL Session: Ghosn Scandal and Japanese “Hostage Justice”Osaka Bar Association Session: “Current situation and future prospects of ADR in Japan”、“The problem of "Inclusive" legal education for foreigners Society”、“Corporate Governance in East Asia: A Comparative Approach”、“Constitutional & Administrative Litigations in the Contexts of Constitutionalism in Asia”、“Global Pact for the Environment and Polluter-pays-principle”、 “Medical ADR & Dispute Resolution”、“Legal Issues on Child & Juvenile”8つのパネルセッションが行われました。ここで注目されるのは、日本法社会学会(JASL)セッションとして行われた人質司法に関するパネルセッション、そして、大阪弁護士会の行った日本のADRの将来に関するパネルセッションです。言うまでもなく、日本の「人質司法」は国際的に非難されているものであり、カルロス・ゴーン事件に引きよせてアジア諸国の研究者とこの問題に関する理解を共有することには大きな意味があります。大阪弁護士会は民事紛争についてADRによる紛争解決を積極的に推進していますが、2018年に日本国際紛争解決センター(JIDRC)が開設されたことを受け、国際民事紛争解決におけるADR活用について実務的観点から紹介するパネルセッションを設け、アジアの実務家等と意見交換を行いました。国際環境条約と汚染者責任原則のセッションもタイムリーな問題を扱っており、注目に値するパネルセッションでした。

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日Ⅳ限には、“Asian Judiciary and Legal Education 3: The Judiciary”The ALSA Presidential Session, Part II: “The Anthropocene and the Law in Asia”、“Massive Inclusion in Japanese Society”、“Issues on Company and Property”、“Land Law Reforms in Asian Emerging Economies: Toward Balanced Development”、“Legal Approaches to Environmental Management”、“Legal and Social issues on Labor”、“New Trends of Criminal Law-1”8つのパネルセッションが行われました。ここでもまたALSA Presidential SessionPart 2 の環境問題に関するパネルに参加者が集まっていました。アジアの土地問題に関するパネルセッションも、新興のアジア諸国では土地問題が様々な形で社会問題化していることから、注目を集めました。刑事司法の新潮流のパネルセッションも関心を引いていました。

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日Ⅴ限には、“Asian Judiciary and Legal Education 4: Legal Education”、“ALSA Book Introduction Session”、“Discrimination Issues”、“Business and Human Rights”、“Medical Conflict Management”、“Environmental Issues”、“Current Issues on Hong Kong and Taiwan”New Trends of Criminal Law-2”8つのパネルセッションが行われました。ここでは、法学教育、医療紛争、そして香港と台湾の問題を扱ったセッションが注目されていました。

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日夕刻のConference Dinner中に行われた、樫村志郎先生によるDinner Speechも学術的な内容であり、報告の一つとしてカウントしてよい。樫村先生の講演は、「法現象の分析」に関わるもので、行動は規範によって直接に規律されるのではなく、規範が特定の内容として維持し管理されることによってはじめて規律されることを指摘するものでした。このような分析が大会のパネルセッションには見られなかっただけに、樫村講演は貴重でした。(以上、その3)

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