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2019.12.22

ALSA(アジア「法と社会」学会)第4回学術大会(大阪大会)概要(その4)

15日午前中には、ホテル阪急エキスポパークで、Closing Plenary Closing Ceremonyが行われました。Closing Plenaryでは、最初に、KIM Joongi先生 (Yonsei Law School)が“Access to Economic Justice in Asia: From an International and Comparative Perspective”とのタイトルのもとに、経済的手法による国境を超越した当事者救済の可能性についていくつかの例を示して検討され、これに続いて、Valerie HANS先生 (Cornell Law School)が、“Asian Experiments with Lay Participation within a Global Context“とのタイトルの下に、アジア諸国の司法への市民参加の多様なあり方を概観したうえで、その改革が何故に起こったのか、司法のあり方にどのようなインパクトをもたらしているかを紹介されました。最後に、Bruce ARONSON先生 (NYU School of Law)が、”Utilizing Research on Asian Law to Contribute to General Theory”とのタイトルのもとに、アジア諸国のコーポレートガバナンスの比較研究はコーポレートガバナンスの一般理論に何をもたらすことができるのかについて理論的問題を提起されました。アジア諸国には様々なタイプのコーポレートガバナンス制度があり、それぞれの制度の実効性を比較分析することで、子細な機能分析が可能になるという指摘は、他の制度比較分析にも当てはまる重要な指摘です。

以上、ALSA大阪大会で行われた講演とパネルセッションでの報告の内容を一通り概観しました。今大会についてまず特筆すべきことは、本大会のパネルセッションでの報告数が多く、そこで扱われているテーマも多様であったことです。ALSA発足以来、若干の波はあるとはいえ、一貫して参加者数および参加国数は増えています。今回は、南アジアや中央アジア諸国からグループでの参加が行われるようになり、学術交流のフォーラムとしてALSAの存在意義がさらに大きくなっていることが窺われました。加えて、その質が高かったと多くの常連参加者から指摘されていることも付記しておきたいと思います。今回の大会が弾みになって、ALSAがさらに発展していくことを期待しています。

次回2020年大会はタイ・バンコクのチュラロンコン大学で開催されます。次回の大会が楽しみです。(以上、その4)

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