« July 2018 | Main | December 2018 »

2018.10.10

2018年10月6日(土)2017年-2020年期 日本法社会学会関西研究支部第5回研究会(例会)概要

2018106日(土)13時から17時過ぎまで、大阪大学豊中キャンパス法学研究科/高等司法研究科大会議室(法経研究棟4F)にて、2017-2020年期 第5回研究会を下記の要領で開催しました。今回は1名の実務家と1名の日本法史研究者による研究報告。いずれも示唆に富む報告で、フロアとの議論も充実していました。

第1報告は、吉間 慎一郎氏 (所属先非公開) による「立ち直り過程における他者との相互変容の可能性と意義」でした。吉間さんは、慶応義塾大学法科大学院のご出身で、学部生の時から受刑者の社会復帰支援に関心をもちはじめ、著書として『更生支援における「協働モデル」の実現に向けた試論-再犯防止をやめれば再犯は減る-』(LABO2017年)を出しておられます。報告はこの著作の基本的な考え方をわかりやすく紹介するものでした。福祉的な視点を司法の中でどのように実現していくか、いろいろ課題はあるようですが、吉間さんはライフワークとしてこれに取り組んでいくつもりのようです。

2報告は、三阪 佳弘 (大阪大学大学院 高等司法研究科) による「近代日本の民事紛争解決における弁護士と非弁護士-地域の実態から-」でした。三阪さんは、近代日本法史研究を長年行ってこられ、ご報告では科研費で実施した研究成果の一部をご紹介いただきました。主に関西、特に明治期から昭和初期までの京都と滋賀における「代人」の活動を当時の判決原本から調べていくことで、庶民の司法へのアクセスがどのように実現されてきたのかを探っていく、大変堅実な調査研究の成果だと拝察しました。資料の制約があるなか、庶民と弁護士、そして司法をつなぐ仲介者としてどのような人々が活動していたか、いつごろまでそれは残っていたのか、この傾向は日本人が裁判を敬遠する傾向と関係があったのかどうか、いろいろ想像は膨らむのですが、歴史研究としては一線を越えることはできないとのこと。法社会学者はこの問題提起にどう答えていくべきなのでしょうか。

今回の研究会も本当に勉強になりました。次回は129日(日)に法制史学会近畿部会との共催で「法と国制の比較史」シンポジウム(神戸大学梅田インテリジェントラボラトリ・梅田ゲートタワー)を開催します。こちらも楽しみです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« July 2018 | Main | December 2018 »