第10回都市型公設事務所等連絡協議会概要
2013年8月23日(金)10時から13時まで、東京・霞ヶ関の弁護士会館2階クレオにて、第10回都市型公設事務所等連絡協議会が行われ、ゲストスピーカーとして参加してまいりました。都市型公設法律事務所は、単位弁護士会もしくは弁護士会連合会が、都市部の司法アクセス障碍をなくし、刑事弁護ニーズや社会保障ニーズに応え、司法過疎地派遣弁護士養成やロースクール連携を行い、弁護士任官を支援するといった目的のために設置した法律事務所のことで、全国各地に15の事務所があります。連絡協議会は2004年に始まり、今年で10回目ということで、各事務所と弁護士会等の代表者で現状報告をするだけではなく、新たな試みとして外部からゲストスピーカーを招いて講演会をするということで、光栄にも私が招待されることになりました。
連絡協議会では、まず定例の議事として都市型公設事務所の現状と課題ついて報告と質疑応答が行われました。ここでの議論は非公開なので紹介できませんが、開業弁護士や法テラスと公設事務所の関係、事務所の収支問題、各事務所の新しい取り組みなどについて様々な意見交換が行われました。公設事務所の置かれている難しい立場について考えさせられました。
定例の議事が終わったあと、1時間の持ち時間で、「都市型公設法律事務所の新しいあり方―オーストラリアのコミュニティーリーガルセンターを手がかりとして―」なるタイトルで講演をさせていただきました。講演では、オーストラリアの司法アクセス支援制度の概要を紹介し、同国の司法アクセス支援が日本に比べていかに充実しているかを明らかにした上で、その重要な一翼を担っているコミュニティーリーガルセンターの役割を、私がオーストラリアで在外研究中に訪問調査をした経験を交えながら紹介し、日本の公設法律事務所の今後のあり方について私なりの問題提起をさせて頂きました。公設法律事務所には、一般開業弁護士を納得させられる存在意義を示すこと、弁護士会(連合会)都市型公設事務所と法テラスの業務内容を差異化すること、若手弁護士の経済的自立にとって都市型公設事務所の存在が有意義であることを示すことが求められていると考えます。これらの課題にどう答えていくかが公設法律事務所の今後を決めるといっても過言ではないでしょう。
午後には第4回都市型公設事務所全国交流集会があり、こちらにもオブザーバーとして参加させて頂きましたが、非公開なので割愛します。このたびは、全国の公設法律事務所の関係者と知り合えたばかりでなく、その抱えている問題について当事者の議論に触れる機会を与えて頂き、本当に感謝しています。都市型公設事務所の皆さま、今後ともよろしくお願い致します。
参考資料
拙稿「司法アクセス支援制度の多様な形態と法曹の役割」
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