2009年1月9日(金)交渉教育研究会概要
2009年1月9日(金)18時30分から20時30分まで、上智大学(四谷キャンパス)2号館13階大会議室にて、交渉教育研究会が開催されました。今回のテーマは、①小学校での交渉教育試行実践の紹介について、②「交渉コンペ」シンポジウムについて、③法務研究財団の研究部会(2月18日)についての3つでした。②③については事務的な事項なので、①に絞って紹介したいと思います。
わが国では、様々な制約があることから、学校教育のなかで交渉教育は、わずかな例を除けばほとんど行われていません。小学校レベルではほぼ唯一とも思われる埼玉県内の小学校で行われている交渉教育実践の試みについて、弁護士の大澤恒夫先生が情報収集して来られ、紹介されました。その小学校では、校長先生の指導のもとに、学習指導要領の特別活動の枠内で法教育をはじめとする様々な教育が幅広く行われているそうです。大澤先生が紹介されたのは、同小学校と筑波大学大学院教育学研究科の先生(と大学院生の方)が共同で実施しておられる、法教育の一環としての交渉教育の授業でした。授業の様子はDVDに収録された資料映像を使って紹介されました。そこで紹介されたのは、3年生を対象とする交渉教育実践で、一つしかないボールの奪い合いを題材とする交渉でした。
講師の先生は筑波大学の大学院生の方。授業は、あらかじめ行っておいた「学校でけんかしたことがありますか」と質問するアンケートの結果を提示して、学校でのけんかがいかに身近なテーマであるかを確認するところから始まります。つぎに講師の先生と校長先生とでボールの奪い合いのけんかの場面を再現してみせます(これで教室が大いに盛り上がる)。授業内容の詳細は紹介できませんが、講師の先生は児童がボールの奪い合いの状況をリアルに想像しやすいように舞台設定し、児童自身がボールを奪い合うそれぞれの当事者の立場にたって紛争(けんか)の解決を考えることができるように工夫しています。この状況設定のあと、講師の先生は児童に「どうしてけんかになってしまうのか」について質問してけんかの原因を追究させ、さらに、そこでの回答を前提として、児童に「けんかにならないためにはどうしたらよいか」を質問し、児童自身に考えさせます。児童は「順番をつける」、「じゃんけんをやって勝った方がやる」、「じゃんけんで負けた方が、勝った方のしたいゲームに参加する」といった解決策を出してきます。とても小学校3年生とは思えないほど様々な解決が授業のなかで出てくることに大きな驚きを感じました。
質疑応答では、このプログラムが一律的なマニュアル形成を試みるものとなっていることや、教育目標をWin-Winな紛争解決に絞り込んでいることなどをめぐって活発な議論が展開されました。
交渉教育にも年齢にふさわしい早期教育があると思います。今回紹介された交渉教育実践の試みはそのような教育のモデルともなりうるものだと思います。この試みのさらなる発展を願っております。


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